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アルギニンはこうして効きます。

自然界に存在が確認されているアミノ酸は500種類

 自然界には、現在までに500種類ほどのアミノ酸の存在が確認されており、このうち人においてはたんぱく質の材料として必要なアミノ酸は20種類(表1)と言われている。つまり、20 種類のアミノ酸が数個から数万個、複雑に組み合わさることでたんぱく質が作られている。
 これらのアミノ酸はたんぱく質の構成成分であると同時に、それぞれが生理的な役割を持ち、生命維持、身体活動、人としての尊厳の発露に寄与している(表2、3)。
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5bf25062d5da2a47b23b2e516be6b027(表2)

894077a40fabdf19fd4df13429709fc5(表3)

必須アミノ酸と非必須アミノ酸に分類することの意味と問題点

体内で合成できないアミノ酸を、必須アミノ酸と呼び、合成できるアミノ酸を非必須アミノ酸と定義されている。これが、食事療法、特に腎臓の悪い人の食事療法にとんでもない誤りをもたらしている。非必須アミノ酸は食事においては含まれなくても構わないアミノ酸として位置づけられているのである。
表4にまとめたように、人や一部の動物以外は非必須アミノ酸が非必須ではない。これが後に大変な誤解を生む原因となっており、その反省に立って、条件付き必須アミノ酸という言葉も作られ、アルギニンはこれに該当する。いずれにしても非常に重要なので、摂取できない状況、言わば飢餓の状態にあっても困らない様に作られた結果に過ぎないと考えたほうがよさそうである。

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思い知れ!!アルギニンのパワー

アルギニンは、図1に示すように肝と腎で合成できる。肝で作られたアルギニンは人にとって、毒性の高いアンモニアの処理のために必要であるにもかかわらず、非必須の扱いを受けさせているのは ヒトと成熟ラツトだけと言っても良いかもしれない。
肝、腎でのアルギニン合成と腸管から吸収されたチトルリンの代謝の流れ、それは一酸化窒素合成とアンモニア処理を目的としているようにも見える。
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肝で作られたアルギニンは全て肝で消費され、体内臓器、体内組織でアルギニンを必要とする部位に供給されるアルギニンで、体内合成分は全て腎由来である。それ故、慢性腎臓病(CKD)を患い、腎機能障害が出現すると、本質的にアルギニン欠乏状態に陥る。低蛋白食事療法が加わると、更に状況を悪化させることになる。
いずれにしても、一部、繰り返しになるが、「必須」とは,あくまでも「食物から摂取することが必須」という意味であって、非必須アミノ酸もタンパク質合成の素材として必須であることはいうまでもないし,食餌由来で吸収された非必須アミノ酸も,そのままアミノ酸として利用されていることも多い。にもかかわらず、この言葉の意味は摂取する必要があるもの、必要があにものという理解に変わっている。少なくとも、一般の人々の理解はそのようである。その裏付けとしては、非必須アミノ酸の食事からの摂取については栄養学上あまり注目されてこなかったという事実がある。
非必須アミノ酸の生体内で果たすさまざまな生理機能が解明され,特に病体時や体調変調時における非必須アミノ酸摂取の重要性が認識されつつあるが、必ずしも一般には普及していないのが現状であり、食事療法の実施にあたってはおおいに留意すべき事実である。

不当に無視されることが多いアルギニン

生体内で重要な役割を演じていながら、非必須という名称が与えられているが故に様々、特に腎臓病という病態において顧みられていないのがアルギニンである。

1) 本当は頼りになるアルギニンパワー

アルギニンには、内分泌系に対する作用、循環器系の生理機能調節作用、アンモニア低下作用がある。
これらの作用にうち、内分泌系については、成長ホルモンの分泌を促進することで知られている。この作用は、成長ホルモンの分泌能力を確認する方法として臨床で広く利用されており、その有用性は明らかである。成長ホルモンが蛋白質合成、細胞再生などに不可欠であることは自明の理とも言え、小児期はもとより、高齢期においても不可欠であることは言うまでも無い。成長ホルモン、更にはIGF-Ⅰ、epidermal growth factor (EGF)が腎尿細管上皮細胞の再生、増殖を促進することが知られている。事実、筆者は透析療法への導入が近い状態の患者の腎機能を遺伝子組み換えヒト成長ホルモンを皮下注射することによって、腎機能を改善させ、透析療法への導入を回避させた臨床経験を持っている。

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図3 成長ホルモンの驚異的な効果; 低アルブミン血症改善効果(症例A)
佐中孜,杉野信博;慢性腎不全患者の栄養障害に対する遺伝子組み替え
成長ホルモンの治療効果.日本腎臓学会誌,33(11);1991.

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無論、成長ホルモンの生理作用には普遍性があっても、アルギニンによる成長ホルモン分泌促進作用が全てのヒトに共通して見られることではない。特に、アルギニンを服用した場合には、脳の視床下部にある神経分泌神経末端から下垂体中に放出される成長ホルモン放出因子 (growth hormone releasing factor,GHRF)あるいは(growth hormone releasing hormone,GHRH)が存在することが前提条件になる可能性も否定できないので、特に高齢者では経口アルギニンの効果には個体差がある可能性が否定できない。そのことを示すのが次の図4の成績である。
図4 アルギニンによる成長ホルモン分泌促進効果;注射用アルギニン、経口用アルギニンの用量依存的効果と成長ホルモン放出因子 の意味

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この研究成績はGHRHにより血中に成長ホルモンが増加するが、その程度はアルギニンの存在の下にあるという条件に比べれば、僅かであると言うことを示し、更にアルギニン量に依存して成長ホルモン分泌量が異なるということも明らかにしている。図のDのアルギニンは経口服用されたもので、服用後30~60分で成長ホルモンが血中に分泌亢進が起きており、その量はGHRHによっておきるそれを遙かに凌駕している。
循環器系に関しては、アルギニンが一酸化窒素をつくりだすことがわかっている。一酸化窒素は体循環や腎循環の調整、血圧調節など、重要な役割を担っています。アルギニンの静脈注射を行うと血管の拡張によって血圧が低下することが確認されており、これは血流改善効果、更には内皮細胞機能の改善に繋がると考えて良い。すなわち、人為的に高脂血症にしたウサギの実験からは、アルギニンが一酸化窒素産生を亢進させ、動脈硬化病変の形成を抑制する推察されるので、アルギニンの腎硬化症の発症進展抑制あるいは治療効果までも期待される。
これらのアルギニンの効果をまとめたのが、図5である。表1~4に列挙した他のアミノ酸と比較してもその作用の特異性が分かる。CKD患者では不適切な低蛋白食ならびに腎での合成能障害によってアルギニン欠乏が惹起されているだけでなく、透析患者になると、透析療法によって失われているのである。摂取蛋白質食品の質を選ぶことの重要性を強調する必要があると考えている。

図5 アルギニンの効果
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